2007 Fiscal Year Annual Research Report
大腸菌0157に対する腸内細菌産生物質の抑制効果の検討
Project/Area Number |
19700588
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
戸嶋 ひろ野 Osaka University, 微生物病研究所, 特任研究員 (10400532)
|
Keywords | 0157 / コリシン / 志賀毒素 |
Research Abstract |
腸管出血性大腸菌O157(O157)に対する殺菌物質(コリシン)を産生する細菌が腸内で果たす役割を究明することを目的に、コリシンがO157のStx産生に及ぼす影響を検討した。RNase型あるいはDNase型の種々のコリシンをO157に作用させたところ、DNase型のコリシンのみがO157の志賀毒素(Stx)2の産生を増大させた。Stx2単独あるいはStx1とStx2を産生するO157株、Stx2バリアント産生株においても、同様にStx2やバリアント毒素の産生が観察された。さらに、Stx2の産生と相関して、Stxプロファージ産生量もDNase型コリシンの添加によって増加した。また、SOS反応に関連する遺伝子の発現についてリアルタイムRT-PCRを行ったところ、DNase型コリシン存在下で培養したO157においてはSOS反応が観察された。すなわち、DNase型コリシンのDNA損傷作用によってSOS反応が引き起こされてStxプロファージが誘導され、その結果としてStxが産生されたと考えられる。以上のことは、常在菌として腸内に存在するコリシン産生菌がO157感染症に関与している可能性を示唆するものであり、これらの作用についてさらに調査を進める必要があると考えられる。
|
Research Products
(1 results)