2007 Fiscal Year Annual Research Report
カルシウム摂取制限モデルマウスにおける骨代謝調節機構の解析
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19700607
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
猪塚 倫代 Mukogawa Women's University, 生活環境学部, 助手 (40441232)
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Keywords | 細胞・組織 / 食品 / 骨粗鬆症 / 予防医学 / 周産期 / 骨代謝 / 予防栄養 |
Research Abstract |
近年、若年者の骨密度は低下傾向を示し幼少期の骨折率も増加傾向にある。この背景として欧米と比較して日本人のカルシウム(Ca)摂取量は低く、とくに妊娠可能な18〜49歳女性のCa摂取量は所要量の約8割(平成15年度国民栄養調査結果より)と不十分であることが挙げられる。これまで妊娠・授乳期において母体のCaは大きく消費され骨量は減少するが、疫学調査では妊娠・授乳による骨代謝の変化は将来の骨粗鬆症の原因として直接的な関与はないとされている。しかしながら、Ca摂取量が不十分な日本人女性の場合、妊娠・出産による骨量減少は今後骨粗鬆症の発症に関与する可能性が考えられる。 本研究はCa摂取不足が妊娠・授乳期の骨代謝にどのように影響を与えるかを検討するためのモデル系作成を目的とした。妊娠1日目10週齢ICRマウスを用いて、妊娠・授乳期に0.5%Ca(コントロール)、0.005%Ca含有食を与えた。授乳期Ca摂取量の影響を検討するため、妊娠期0.005%Ca群に対して授乳期に0.5%、0.005%Ca含有食を与えて飼育した。これらについて、体重、体長(仔のみ)、血中Ca、リンの測定、レントゲンによる骨密度解析を行った。妊娠期Ca制限によって出産時母体の骨密度は低下するものの各群間の新生仔マウスに大きな影響はなかった。妊娠・授乳期0.005%Ca群で母仔ともに骨密度が低下し仔マウスは成長障害が示されたが、妊娠期0.005%Ca・授乳期0.5%Ca群はコントロール群と同様の体重増加、骨密度を示した。これらのことから、本研究においてICRマウスの活用はモデル系として有用であり、妊婦・授乳婦のCa付加量は「日本人の食事摂取基準(2005年版)」では『0mg』と改訂されているが、Ca摂取不足傾向である若年女性の妊娠・授乳期において、特に授乳期での積極的なCa摂取が重要であると考えられる。
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Research Products
(3 results)