2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19700675
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
青田 容明 Kanazawa University, 環日本海域環境研究センター, 研究員 (20397201)
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Keywords | 環境変動 / 自然現象観測・予測 / 水圏現象 / モニタリング / 琵琶湖湖底環境 |
Research Abstract |
湖内流動場における物理量の連続計測に関して、2007年度に冬季に限定して試験的に設置した高精度水温計の結果から、本年では同水温計を更に複数台購入して、より長期の連続計測が出来る体制を確立した。これまで琵琶湖最深部付近における湖底の連続計測は、湖底直上に設置した流速計とそれに付属する水温計のみで、湖底付近における水温の鉛直分布動態は、これまで設置してきた水温計の分解能やメモリの制限から限定的な情報しか得られなかった。本計測体制により、琵琶湖最深部付近の湖底近くの水温鉛直分布動態が、高精度でかつ詳細な測定間隔を持って連続的に計測できるようになった。これまでのセディメントトラップ調査と水塊の水温・流速の計測結果から、湖底泥の堆積環境に影響を及ぼす程の継続的な水塊の混合は主に湖の全循環と呼ばれる時期に生ずる事が推定されため、主に水温躍層形成の後期から晩冬の期間に焦点を当てて観測を行う予定であったが、本年は計測システムを交換可能な時期が限定的であったため、交換時期が予定よりも2〜3カ月程後にずれ込んだ。ただし、本計測で用いている水温計のメモリとバッテリ共に計測が継続可能な期間であり、結果として、湖底付近の詳細な鉛直水温変動を水温躍層形成の時期まで捉える事ができた。昨年度の結果では、流速計を用いた連続観測結果から、内部ケルビン波に相当する周期成分だと考えられる、長周期の反時計回り回転スペクトル成分が観測期間中に強く現れており、このような長周期の波動成分が冬季においても生じている事を確認できた。内部ケルビン波は水温躍層の傾斜と地球自転の影響とのバランスによって生起されるが、水温躍層付近だけではなく最深部の湖底付近においてもこのような長周期波動の影響を受けている事から、本年における計測データは、上記解析にとって重要な計測データとなり、この解析を通じて、湖底付近における長周期波動の減衰過程と深層水の混合促進に関する関係を推定するための基礎データとなる。
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Research Products
(1 results)