2008 Fiscal Year Annual Research Report
キャビティーリングダウン法による窒素酸化物の極微量迅速分析装置の開発
Project/Area Number |
19710010
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高橋 けんし Kyoto University, 次世代開拓研究ユニット, 特定助教 (10303596)
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Keywords | 大気化学 / 窒素酸化物 / 超高感度計測 / NO3ラジカル / キャビティーリングダウン / レーザー |
Research Abstract |
本研究の目的は、夜間大気において重要な役割を担っているNO3ラジカルおよびN2O5分子を計測する超高感度装置を開発することである。具体的には、実験室分光の一つの実験手段として、近年にその応用性を広げつつある、キャビティリングダウン(CRD)吸収分光法を用いた。NO3ラジカルは662nm付近に、第一電子励起状態への電子遷移に伴う強い吸収バンドを有するので、その可視吸収に共鳴す素レーザーを用いた。CRD法のメインとなる光学キャビティーの設計と組み立てを行った。非常に反射率(99.99%以上)の高い一対のミラーを、約0.5m程度離して設置し、光学キャビティーを構成する。片方のミラーの後ろから、NO3の吸収の共鳴波長付近(662nm)の半導体レーザー光を導入した。CRDミラーの片方に圧電素子を取り付け、ミラーの位置を光学キャビティーの軸方向に沿って微振動させた。キャビティー内にレーザーパワーが蓄積されたときに、レーザーをOFFにする。当初、三点軸に圧電素子を取り付けたマウントを使用したが、三点の移動距離がわずかに異なり、共鳴状態が安定に維持されなかった。そこで、円筒状の一軸動作型圧電素子を用いることで、均一な共鳴条件が安定に達成されることが分かった。圧電素子の動作振動数は300Hzとした。この方法により、リングダウン信号を観測することに成功した。安価な光学素子を用いながらも(素子単価はせいぜい一万円程度)、超高感度な先端的ガスセンシング技術に道が拓かれた。
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Research Products
(12 results)