2007 Fiscal Year Annual Research Report
放射線による細胞膜応答と低線量超放射線感受性の関係
Project/Area Number |
19710054
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
和田 成一 Kitasato University, 獣医学部, 講師 (50370490)
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Keywords | 低線量 / スフィンゴメエリナーゼ / アポトーシス / イオンビーム / 局所損傷 |
Research Abstract |
細胞膜も放射線に対する重要なターゲット分子と考えられている。細胞膜損傷からのアポトーシス誘発シグナル伝達機構にはスフィンゴミェジナーゼーセラミド経路が重要と考えられているが詳細は明らかにされていない。 細胞膜損傷が発端となるアポトーシス誘発のメカニズムを解明するためには、細胞膜に特異的に損傷を付与できる実験系が極めて有効である。重イオンマイクロビームでは細胞膜/細胞質に限定して放射線損傷を付与することによる放射線応答を直接的に解析できる。そこで、細胞核に損傷を与えない選択的照射を行うことによる細胞損傷からのアポトーシス誘発機構を解析した。 照射細胞はCHO-K1細胞を用いた。Γ線照射によってスフィンゴミェリナーゼの活性化が観察され、細胞内のセラミドを抗セラミド抗体によって検出したとき、細胞内のセラミドのシグナルが増加することが観察された。また、この活性はスフィンゴミェリナーゼ阻害剤のchlorpromazine処理によって阻害され、さらにアポトーシスの出現頻度も低下した。これは放射線よってスフィンゴミェリナーゼが活性化され、この活性がアポトーシス誘発に関与することを示唆している。細胞質のみの選択的な照射を行うために原子力機構・高崎において11.2 MeV/u Arイオンを重イオンマイクロビームを用いて照射した。細胞質領域への選択的な損傷付与によるアポトーシスの出現頻度を調べた時、アポトーシスの出現頻度は細胞質照射群において非照射細胞群よりも高くなることが観察された。さらに、細胞質照射によるセラミドの変化を観察したとき、イオンがヒットした細胞質の領域付近にセラミドが局在することが観察された。この結果から放射線照射による細胞膜損傷によってスフィンゴミェリナーゼが活性化され、シグナル分子であるセラミドがアポトーシス誘発機構に関与すると考えられた。
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Research Products
(1 results)