2007 Fiscal Year Annual Research Report
重粒子線の水平および垂直方向照射による生物効果の研究
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19710056
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
加藤 宝光 National Institute of Radiological Sciences, 重粒子医科学センター, 研究員 (30450430)
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Keywords | DNA損傷 / DNA修復 / 重粒子線 / 放射線 / NDA二本鎖切断 |
Research Abstract |
初年度(昨年度)の研究では、高い線エネルギー付与をもつ重粒子線を水平方向から照射することにより、重粒子線の飛跡にそってDNA二本鎖切断の生成をγH2AX免疫染色の方法を用いて確認した。 特にがん治療で使われている炭素線では、DNA二本鎖切断の発生率から、ひとつの重粒子線で、1μmあたり二つ以上のDNA二本鎖切断が生成されることが確認できた。これは、これまでの方法では確認することができなかったものである。特に、培養細胞の核は厚さが1μmから3μmであることが知られており、このことが示すのはひとつの重粒子線を培養細胞に対して垂直方向から照射することで、数個のDNA二本鎖切断が生成されていることを示唆している。このように高密度にDNA二本鎖切断を生成することが重粒子線の高い生物効果につながっている可能性は高い。 重粒子線によって作られる損傷のDNA修復について詳細に調べるために、多重免疫染色を行った。特に、pDNA-PKcsとBRCA1による二重染色法では、重粒子線によって作られたDNA損傷がどのような修復経路を通っているのかを確認することができた。 また、重粒子線によって作られるDNA二本鎖切断の修復について調べるため、DNA修復欠損であるCHO細胞株(V3,irs20,xrs5,irs1,irs3,irs1SF,51D1,KO40{それぞれDNA-PKcs,DNA-PKcs,Ku80,XRCC1,XRCC2,XRCC3,Rad51D,FancG遺伝子を欠損している})実験を行った。その結果、重粒子線で作られる損傷は、今まで知られている非相同組み換え修復(DNA-PK,Ku80)および相同組み換え系修復(Rad51D,FancG)のどちらでも修復が困難であることがわかった。
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Research Products
(3 results)