Research Abstract |
現在,土壌の汚染現場や修復現場で利用可能性のある測定技術が上市あるいは研究されているが,具体的にどのような性能を持ち,どのような場面で使用できるのか明確ではないことから,まず,既存の測定技術に関して定量下限や測定可能元素,価格などの情報を収集して整理した。 これからの中から土壌への適用可能性があり,迅速性,簡易性に優れる測定方法として,電気化学的測定法,吸光光度法,検知管法を選択し,土壌溶出液等に適用した際の性能評価を行った。その結果,土壌汚染の評価,診断に使える可能性があることが示された。具体的には,電気化学的測定法については,Pb,Cdについて高感度な分析が可能であることから,非汚染の判断に利用できる可能性があることが分かり,吸光弧度法については,Cr6+,F,Bについて試験を行い,感度的に高い確度での非汚染判断に用いることができる元素は限られてしまうが,明らかな汚染があることの判定や汚染の疑いがある場合に利用できる可能性が示された。検知管法についてはAsを含む溶出液に適用した結果,溶出基準値付近で擬陽性を示すことがあるが,擬陰性の例は確認されず,安全側での汚染判断に使用できる可能性が高いことが明らかとなった。なお,分析方法の一部については,測定妨害が認められたため,その妨害除去についても検討した。 また,土壌調査現場あるいは修復現場での汚染診断のための一次スクリーニングに使用できる技術としての迅速溶出法の推計精度を高めるために溶出データを蓄積した。このデータを蓄積することにより,土壌汚染現場でのどの程度の精度で測定,判断が可能なのかが明確となり,また現実に即した測定、診断技術を開発することができると考えられる。
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