2009 Fiscal Year Annual Research Report
火山噴火で生じる密度流の水域流入現象とそれに伴う津波の発生過程に関する研究
Project/Area Number |
19710150
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
前野 深 The University of Tokyo, 地震研究所, 助教 (20444078)
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Keywords | 火山噴火 / 津波 / 密度流 / 自然災害 / 地質学 / 堆積学 / 地球物理学 / 防災 |
Research Abstract |
噴火活動に伴う火山性密度流(火碎流や岩屑流)の海への突流入現象は,火山性津波の発生過程や火碎物の運搬・堆積過程を理解する上で重要である.本研究の目的は,この現象に伴う津波の規模や火山性密度流の動きを支配する物理パラメータを明らかにし,災害軽減に役立つモデルと手法を水理実験や数値実験にもとづき提案することである.H21年度は,まずH20年度に実施した水理実験の結果や新たなモデルを用いて,1883年インドネシア・クラカタウ火山噴火における津波発生メカニズムの解明を試みた.新たに考案した二層浅水流モデル(水よりも重い場合と軽い場合)を改善するとともに,噴火前後の地形変化や噴出源の位置,噴出量に関してこれまで不十分であったパラメータ・スタディを多数実施した.その結果,火碎流の突流入モデルを地質学的に妥当と考えられる流量(およそ10^8kg/s)のもとで用いた場合,沿岸部の津波波高や,実際に観測された津波の到達時間,波形,周期などをよく再現できることから,火碎流の海への突流入現象がこの噴火の津波発生メカニズムとして有力であるという結論を得た.この研究成果については現在論文かを進めている.また,水理実験や数値実験にもとづくと,火碎流の体積より流量が津波の発生効率に大きく寄与することが明らかとなった.火山性密度流の形状や動きについては,流れの密度よりも流れの底面における摩擦抵抗が最も大きく効いていることがわかった.係数についての任意性をどのように排除するかは今後の課題である.本研究で提案した火山性密度流のみずへの流入モデルが鬼界カルデラやクラカタウ火山の噴火に適用することにより,噴火の物理量に関して新た知見が得られ,津波発生メカニズムに制約が与えられた点は大きな成果である.今後,国内外の火山噴火イベントについてこのモデルを適用し,過去の噴火活動の解明や災害予測に役立てる試みを継続していく予定である.
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] Intraplate magmatism related to deceleration of upwelling asthenospheric mantle : implications from the Changbaishan shield basalts, northeast China2009
Author(s)
Kuritani, T., Kimura, J.-I., Miyamoto, T., Wei, H., Shimano, T., Maeno, F., Jin, X., Taniguchi, H
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Journal Title
Lithos 112
Pages: 247-258
Peer Reviewed
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