2008 Fiscal Year Annual Research Report
生物由来活性物質とその安定化に寄与する介在高分子に関する研究
Project/Area Number |
19710192
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
犀川 陽子 Keio University, 理工学部, 講師 (20348824)
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Keywords | ミドリイガイ / 青色色素 / 色素ペプチド / アカクラゲ / 刺激物質 / 脂肪酸 / リノレン酸 / くしゃみ |
Research Abstract |
・ミドリイガイの殻皮層に含まれる色素と介在タンパク質の機能の解明 ミドリイガイの殻皮層には青色色素が含まれており、この色素は藻類や卵殻などに含まれるテトラピロール系色素よりも安定な親水性の化合物であることがわかってきた。そこで、殻皮層から精製した色素溶液の漁LDI-TOFMSを測定したところ、分子量1700程度であることがわかった。また、殻皮構成タンパク質の分解物を同様に測定すると、分子量1700〜2000のペプチドの混合物であることがわかった。この分解物および色素のNMRスペクトルはよく類似していた。しかしイオン交換や、吸着性を利用した色素と他のペプチドとの分離が成功していることから、極性や吸着性は発色団の性質によるものと考えられる。ペプチド部分だけではなく発色団に強い親水性が期待されることから、新たな骨格を持つ色素と期待している。 ・アカクラゲ由来の刺激物質の探索 アカクラゲの乾燥した粉がヒトにくしゃみを引き起こすと言われている。マウスの鼻腔に抽出物を塗布してくしゃみの数を数える方法にて、この刺激物質の精製を行った。その結果、ヘキサン層に有意な活性が見られたので、C30やODSHPLCにて精製を行ったところ、リノレン酸によく類似した脂肪酸類の混合物を得た。活性物質を単離するため、脂肪鎖のわずかな違いを認識できる大類試薬を調製して、エステルに導き、主に3種類の脂肪酸に分離することができた。この3種のいずれもODSHPLCに於いてリノレン酸とは異なる保持時間を示しており、活性のないリノレン酸とは異なる新規化合物であると考えられる。また、この研究を通して、刺胞毒とは異なる刺激物質がくしゃみの原因物質である可能性を示唆した。
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Research Products
(3 results)