2007 Fiscal Year Annual Research Report
旧ソ連・東欧地域のEUへの接近・統合プロセスの総合的比較研究
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19710206
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
廣瀬 陽子 Tokyo University of Foreign Studies, 大学院・地域文化研究科, 准教授 (30348841)
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Keywords | 欧州近隣諸国政策 / 民主化 / 経済発展 / 平和構築 / 旧ソ連・東欧 / GUAM / OSCE / パイプライン |
Research Abstract |
本研究では、冷戦終結後の欧州地域の旧共産圏、すなわち、旧ソ連・東欧諸国が、どのように政治・経済発展を遂げているか、また紛争を解決して平和構築と安全保障を進めているかを、EUとの関係を鍵にして、比較研究することを目指している。平成20年度は文献調査と現地調査を総合的に組み合わせることによって調査を進めた。平成20年度にはハンガリー、チェコ、アゼルバイジャン、グルジアでの現地調査を行う予定だったが、調査予定を変更し、本研究費でハンガリー、別資金によりチェコ、ルーマニア、ブルガリアにて調査を行った。つまり、本研究で想定していた4っの比較事例のカテゴリーの内の二つ((2)EUに早期に加盟済みの中欧諸国:ハンガリー、チェコ、(3)次期EU拡大で加盟した東欧諸国:ルーマニア、ブルガリア)の現地調査を行ったことになる。 これら諸国は、紛争を抱えていないため、目下の深刻な問題は、対ロ安全保障問題とエネルギー安全保障となるが、どれもロシアの外交姿勢がネックとなっているということがよくわかった。現在、ロシアは中東欧の分断を進めようとしており、チェコが欧米一辺倒である一方、パイプラインの問題で、ブルガリアとハンガリーがロシア寄りの姿勢を見せるなどして欧州の足並みを乱している。ルーマニアは発展の方向性をEUのみならず、黒海沿岸地域にも見出そうとしている。なお、昨年、EUに加盟したルーマニア、ブルガリアについては、EU拡大に先立っNATO加盟による政治経済発展へのインパクトが大変強かったようだ。このように中東欧諸国は、ロシアと欧米のはざまで微妙なバランスをとりながら、安全保障を確保しつつ、政治経済の発展を目指している様子がよく理解できた。
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Research Products
(3 results)