2008 Fiscal Year Annual Research Report
「アフリカの角」地域における紛争・貧困のリスクに対処するローカルな公共性の構築
Project/Area Number |
19710210
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西 真如 Kyoto University, 東南アジア研究所, 研究員 (10444473)
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Keywords | 文化人類学 / 国際協力 / HIV / AIDS / 感染症 / 紛争調停 / 住民組織 / 慣習法 / アフリカ |
Research Abstract |
エチオピアの南部州グラゲ県の農村において、2009年9月10日から23日までの期間に現地調査をおこなった。 紛争リスクに対処するローカルな社会秩序の構築については、グラゲ県マフェド村において、長老の権威に着目した調査をおこなった。グラゲ県の農村においては、住民を統治する上で長老が重要な役割を果たしてきたと考えられている。しかし最近では、長老の権威を支えてきた伝統宗教の衰退が著しいことがわかった。他方で、村落を離れて首都アジスアベバに移住した者(グラゲ移住民)が、その経済力を背景に、故郷の村の統治にも重要な役割を果たしていることがわかった。 HIV/AIDS問題に関しては、グラゲ県エナモル・エナル郡の保健局において、同郡のHIV感染に関する基礎的なデータを得るとともに、郡政府の取り組みについて聞き取りをおこなった。またマフェド村において、HIV/AIDSが農業生産に与える影響について聞き取りをおこなった。HIV感染者を抱える世帯においては農作業が困難となるため、伝統的な共同労働組織によって感染者世帯に労働力を提供する試みがおこなわれていることがわかった。 上記調査の他、アフリカの感染症問題や関連する問題に関心のある研究者・実務家、NGO職員らとともに3回の研究会と、1回の公開シンポジウムを実施した。公開シンポジウムには研究者の他、NGOや公益財団の関係者、学生、市民等45名が参加した。
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