2009 Fiscal Year Annual Research Report
「アフリカの角」地域における紛争・貧困のリスクに対処するローカルな公共性の構築
Project/Area Number |
19710210
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西 真如 Kyoto University, 東南アジア研究所, 助教 (10444473)
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Keywords | 文化人類学 / 国際協力 / HIV / AIDS / 感染症 / アフリカ |
Research Abstract |
エチオピアの南部州グラゲ県において、2009年8月11日から9月6日までHIV/AIDS問題に関する現地調査を実施した。グラゲ県エナモル・エナル郡のマフェド村周辺において、HIV/AIDSの影響を受けた世帯を訪問し聞き取り調査を行った。その結果、エイズによって農作業に必要な労働力を失った世帯においては、独立した世帯としての生計を維持することが困難になる事例が少なくない一方で、適切な治療を受けることで陽性者の健康が回復し、生計を維持している世帯があること、あるいは労働力の確保が困難であっても、近隣の世帯から労働力や食料の提供を受けることで生計を維持している世帯があることがわかった。また同郡の保健局を訪問し、郡内の感染動向に関する統計を収集するとともに、治療や予防に関する住民への指導方針について聞き取り調査を行った。その結果、郡内では既婚者の感染が増加していること、保健所はHIV陽性者が結婚や出産・育児に関与することを前提として、母子感染や夫婦間の感染を予防するための知識の普及を重視していることが明らかになった。また県内で実際に育児に携わっているHIV陽性者を訪問して聞き取り調査を行った。 上記調査の結果、グラゲ県で生活するHIV陽性者は依然として多くの問題を抱えているものの、HIVに感染した者が地域社会において生計を維持し、さらに出産や育児に携わることを可能にするための知識が、地域住民の間に蓄積されつつあることが明らかになった。 また上記調査の他、HIV/AIDS問題に関する公開シンポジウムを2010年1月23日に開催し研究報告を行った。本シンポジウムはNPO団体との共催で実施し、研究者、国内外でHIV/AIDS問題に携わるNPOや公益財団の関係者、学生、市民等35名が参加し、活発な討論が行われた。
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Research Products
(5 results)