2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19720017
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
西村 明 Kagoshima University, 法文学部, 准教授 (00381145)
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Keywords | 慰霊 / 巡礼 / 南方戦 / 記憶 / 儀礼 / パフォーマンス / モノ / 宗教学 |
Research Abstract |
本年度は、前年度に行った調査を踏まえ、成果発表を中心に活動した。日本近代仏教史研究会研究大会、International Conference on Small Island Cultures、鹿大史学会例会、日本宗教学会第67回学術大会といった場で口頭発表を行ったが、とくに日本宗教学会での発表は「現代日本の戦死者慰霊-慰霊の現場から視えるもの」というパネルディスカッションを組み、中山郁(國學院大)、粟津賢太(創価大)、土居浩(ものつくり大)といった遺骨収集・慰霊巡拝に関する関心を共有する研究者らと議論を行う機会を得たことは、本研究の成果発表の意味でも、研究代表者の研究の深化の意味でも大変有意義な機会であった。 他方で、昭和館紀要『昭和のくらし研究』や、京都仏教会監修『国家と宗教』、『国立歴史民俗博物館研究報告』に本研究についての論文を掲載できたことも、大きな成果である。 ただし、本研究において、研究計画書に記載したサイパンやチュークでの現地調査や海外所在の資料の把握については実施にはいたらなかった。しかしながら、その不足をカバーできる国内での資料収集、インタビュー調査を行うことができた。当初の予想に反し、2年間という研究期間では扱いきれないデータ量が収集されたため、遺骨収集・慰霊巡拝に関する基礎的考察を中心に行うに止まった。本研究が目指した「彼岸工学」的考察については、若干の示唆を提示するに止まったが、本研究の遂行によって、同アプローチによる今後の研究の方向性が明確化したばかりではなく、歴史的体験のもつ宗教性というより大きな研究の文脈が見えてきたことの意義は大きいと思われる。
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Research Products
(7 results)