2008 Fiscal Year Annual Research Report
「伊年」印草花図を中心とする宗達派草花図の研究-北陸と京都での需要をめぐって
Project/Area Number |
19720028
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
岡田 梓 Japan Women's University, 人間社会学部, 助手 (60440088)
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Keywords | 美術史 / 近世 |
Research Abstract |
2008年8月には石川県金沢市の承証寺にて、同寺が蔵する「萩に兎図」板戸の熟覧および写真撮影を行なった。この作品は、落款印章は無いが、かつての調査により宗達派の作品として紹介され、以来、幾度となく宗達派の作品として紹介されてきた。金沢市内に伝存し、かつ使用方法、使用環境が明らかな作例として調査を行なったものである。本研究課題で対象とする作品群は草花図であり、本来追究する作品とは逸するが、この作品には萩だけでなく、いくつかの空き草が描かれており、筆致などを他の草花図作例と比較することができた。 また、工房の動向を探るべく、金沢市立玉川図書館および近世資料館や国立国会図書館にて加賀藩前田家所縁の地域(主に金沢市およびその周辺地域)に関する史料を調査した。 同時に、宗達亡き後、京都での工房の活動も報告されていることから、手がかりを得るべく、京都府立総合資料館、京都市歴史資料館で資料収集を行なった。 宗達派の作品は、後水尾天皇の許にも届いていたことが史料から知られており、またこの当時、後水尾天皇が「立花」に執心していたことは有名である。後水尾天皇を中心とする寛永時代の文化サロンの中心への影響関係という観点からも立花と宗達派草花図との関係を無視することはできない。直接的な関係は現在のところ見当たらないが、関心の推移や採用される植物の種類などについて比較検討する余地があると考え、2009年3月には京都の六角堂近くの池坊いけばな資料館にて資料閲覧するなど資料収集に努めた。
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Research Products
(1 results)