2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19720035
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Research Institution | The National Museum of Western Art, Tokyo |
Principal Investigator |
平山 東子 The National Museum of Western Art, Tokyo, 学芸課, リサーチフェロー (50421839)
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Keywords | 古代ギリシア / 地中海 / 考古学 / 美術史 / 神話 / 土器 |
Research Abstract |
本研究は、紀元前6世紀前半の初期アッティカ黒像式陶器の展開を様式、図像、技法、器形、出土分布などから多角的に跡づけ、その形成過程と古代地中海世界における社会的機能を明らかにすることを目的としている。そのケーススタディーとして初期アッティカ黒像式陶器を代表的する陶画家の一人である逸名の画家「KXの画家(KX Painter)」を採り上げている。 今年度は、ロシア、プーシキン美術館(モスクワ)、エルミタージュ美術館(サンクトペテリブルグ)において前年度と同様の作品調査を引き続き実施した。3年間にわたって継続した現地調査により、「KXの画家」とその周辺作品の図像と技法、装飾方法、器種などの特色に関する多くの知見を得ることができた。本研究によって得られた「KXの画家」の作品研究の成果から、「KXの画家」の同時代および後代のアッティカ陶器の陶工・陶画家に及ぼした影響や、工房の系譜、周辺作家の作品に見られる図像表現との比較などについて、中央公論美術出版より刊行したKIeitias and Attic Black-Figure Vases in the Sixth-Century B.C.(2010)に発表した。さらに本研究の成果をまとめ、「KXの画家」の作品に関するデータを編纂し、その様式的特徴や周辺作品との影響関係、とくにコリントスやイオニア、ラコニア地方などの周辺地域の東方化様式陶器との関わりと、その背景となる当時の陶器の輸出状況や東方世界との交流に焦点を当てた論文を執筆中である。
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Research Products
(1 results)