2007 Fiscal Year Annual Research Report
中世王朝物語の引用和歌典拠総覧作成とテキスト処理による物語内引歌表現検索の研究
Project/Area Number |
19720053
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Research Institution | Baiko Gakuin University |
Principal Investigator |
安道 百合子 Baiko Gakuin University, 文学部, 講師 (00441577)
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Keywords | 国文学 / 中世王朝物語 |
Research Abstract |
本研究は、中世王朝物語の作品すべてにおける、作中和歌の他出状況および本歌・参考歌の調査・掲出を行うとともに、引歌の典拠の網羅的調査・研究を行うことにより、中世王朝物語各作品の創作基盤を明らかにすることに目的がある。その一年目となる19年度は、基礎データの収集・精査に多くの時間を費やした。 まず、『鎌倉時代物語集成』(笠間書院)に収められる作品本文の入力については、作品ごとに、本文の状況を確認し、入力規則を定めたうえで、業者に入力を依頼した。また、納品データについて、精度の確認を行うとともに、次年度以降の作業の準備として、漢字の抽出や、異文情報の抽出などを行った。 また、作中和歌を、すべて抜き出し、かな表記に整えた。並行して、『新編国歌大観」』に収められるすべての和歌を対象にして、かな表記に整える作業を進めた。すべてをかな表記にし得たわけではないが、比較の精度がある程度期待できる割合まで達した。そこで、作中和歌については、作品ごとに、2音1因子方式での和歌比較を行い、同一和歌ならびに類似和歌の抽出を行った。これは、連続する、かな2音が一致する数(ポイント)で類似度を測る方法で、比較的類似度が低い11ポイント程度の和歌も網羅的との比較検討を行った。その結果、コンピュータの抽出和歌は、和歌の時代性や傾向をとらえるには有効だと考えられる。本年度終えた基礎作業によって、他出状況と参考歌を網羅的に掲出することには、十分な成果が期待できるので、今後、その調査を全作品にわたって継続する。あわせて、引歌典拠の調査・検討をさらに進めてゆきたい。
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Research Products
(1 results)