2009 Fiscal Year Annual Research Report
中世王朝物語の引用和歌典拠総覧作成とテキスト処理による物語内引歌表現検索の研究
Project/Area Number |
19720053
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Research Institution | Baiko Gakuin University |
Principal Investigator |
安道 百合子 Baiko Gakuin University, 文学部, 講師 (00441577)
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Keywords | 国文学 / 中世王朝物語 |
Research Abstract |
本研究は、中世王朝物語各作品の創作基盤を明らかにすることに目的がある。21年度も前年度に引き続き、そのための基礎研究を進めた。前年度までに、作中和歌と新編国歌大観所収和歌との和歌比較プログラムによって既に抽出を終えた類歌については、本歌・参考歌を、既出版注釈書との比較などをもとに検討、認定作業を続けた。 また、今年度は、『あきぎり』という作品を具体的に取り上げて、作品本文の標準化・作品本文と新編国歌大観所収和歌との文字列比較・作品本文と『源氏物語』『狭衣物語』との文字列比較などを試み、その結果を報告した。何段階かの実験を経て、作品本文には、「御」と「給」のみを漢字として残したものを使用し、本文から網羅的に比較に適した短文を取り出すために、20文字ずつずらして40文字ずつ取り出した。そうしたデータをもとに、和歌との比較・先行物語との比較を行ない、その結果を報告した。概観を論文(「コンピュータは引用表現を探せるか」)において、報告し、さらに、和歌との比較を詳細に検討した結果、引歌認定に至るまでの経緯を、学会発表(「コンピュータは引歌表現を探せるか」於広島大学)にて報告した。 『あきぎり』を例にした検討によって、方法についてはある程度、その有効性を見定めることができ、また、従来の指摘にない引歌を加えることができた。その後、全作品を対象にして、本文の標準化、比較に適したデータ作成などを続け、現在も進行中である。コンピュータを利用した研究は、網羅的に結果を出せることに利点があるため、引き続き、精度の高い基礎データ作成を続け、対象作品を広げて検討を続ける予定である。
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Research Products
(2 results)