2011 Fiscal Year Annual Research Report
身分的・空間的境界領域の人々の営みを中心とした近世和歌の文化史的研究
Project/Area Number |
19720055
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Research Institution | Toyota National College of Technology |
Principal Investigator |
加藤 弓枝 豊田工業高等専門学校, 一般学科, 准教授 (10413783)
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Keywords | 国文学 / 和歌文学 / 書誌学 / 近世文学 / 日本文化 / 非蔵人 |
Research Abstract |
前近代の日本人にとって、和歌詠作とはいったいどのような意味を持つ行為であったか、そこには近代的な文学創作の範疇をこえた、文化史的な意味があったのではないか。本研究の具体的な目的は、以上を背景として、次の4点を明らかにすることにある。 (1)身分的境界領域にいた人々の和歌詠作現場の解明 (2)諸階層の人々の和歌詠作現場の解明 (3)諸地方の和歌詠作現場の解明 (4)身分的・空間的境界領域の人々の和歌詠作現場に関する資料のデータベース化 本年度は、昨年度に引き続き、蘆庵文庫で収集した和歌詠作現場に関する資料の書誌をPC入力し、データベースの基盤を作成した。さらに、身分的・空間的境界領域にいた人々の内、とりわけ非蔵人は特殊な職種であり、彼らの動向を解明することは、近世文化史に新たな側面を提示する可能性ある。そこで、非蔵人に和歌詠作に関する調査に特に力を入れた。具体的には近世中期から後期にかけての非蔵人は、京都において歌壇に新風を吹き込んだとされる小沢蘆庵の門人が多い。そこで、蘆庵門の非蔵人の動向を探ることで、彼らが同時代において果たした役割を追求した。今年度はとくに非蔵人の日記の記述から、彼らが公家との間で書物書写のやりとりの際に、重要な役割を果たしていたことや、書籍講以外の「講」を形成し独自の営みを催していたことが明らかとなった。結果、彼らの日常的学芸活動の実態を昨年度より、詳しく解明することができた。
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Research Products
(6 results)