2008 Fiscal Year Annual Research Report
事象関連電位を指標とした文処理における韻律情報の研究
Project/Area Number |
19720087
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Research Institution | Niihama National College of Technology |
Principal Investigator |
福光 優一郎 Niihama National College of Technology, 一般教養科, 講師 (30431480)
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Keywords | 事象関連電位 / 韻律情報 |
Research Abstract |
本研究は、成人の日本語母語話者が日本語の音声言語の文処理を行う際に、イントネーションやポーズといった韻律情報が統語構造の構築および文処理の即時性に対してどのような影響をもつのかについて、事象関連電位を指標として行う調査である。平成20年度では、袋小路文と呼ばれる複文を対象とした研究を行った。視覚刺激を用いた先行研究によ、袋小路文は曖昧な文構造を持つと判断されて、読み時間のる遅延や理解度の低下をもたらすことが知られているが、日常会話では、ポーズ(休止時間)やイントネーション(抑揚)などの韻律情報を使用することで、そうした曖昧さを回避していると考えられている。今回の研究では、名詞句とその名詞句を修飾する関係節末の動詞との間の韻律情報を統制することで、視覚刺激を用いた実験で報告されてい読み時間の遅延や理解度の低下をもたらしている考えられる文構造の曖昧性が消失するかどうか、またそれに伴い先行研究で報告されている文構造の曖昧性が誘発すると考えられている事象関連電位の成分が観察されるかの検討を行った。実験の第一段階として、韻律情報の一つであるポーズの長さを調整することで、曖昧性が解消されるかどうかを読み時間を指標として実験を行った。この実験では視刺激を文節毎に提示し、刺激の提示間隔を調整し、ポーズ長を変化させた刺激を提示したところ、名詞句と名詞句を修飾する関係節末の動詞との間のポーズが長くなることで、ポーズ後の名詞句提示後の読み時間が減少した。続いて、上記実験で用いた刺激から音声刺激を作成し、音声刺激聴取時の事象関連電位の測定を行ったが、ポーズの長さに関して、条件間に有意な差が見られなかった。今後、語レベルのトーンや文レベルのイントネーションの統制を含めた音声刺激の作成方法に関して、再検討を行ったうえで、再実験を行う必要がある。
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