Research Abstract |
身振りが発話に与える影響を探るため,本研究では,発話中の話し手の身振りを制限することによって,発話に含まれる言語的特徴に違いが生じるかどうか調査する。 当年は,パイロットデータの収集、実験、そして,映像・音声データのコーディングを行った。実験には,短いアニメーションクリップの内容を描写してもらう説明課題を用いた。手袋を板の上に固定したものを用意し,実験の参加者のうち半数のグループには,手袋をはめた状態で課題を遂行してもらい(身振り制限条件),残りの参加者には,手袋なしで自由に話してもらった(身振り非制限条件)。研究開始当初は,参加者はビデオカメラに同かって一人ずつ説明してもらう予定であった。しかし,話し手がビデオに向かって語りかける場合,身振りが大幅に抑制きれる傾向があることがパイロット実験から明らかになった。そのため,二人一組で実験に参加してもらうことによって,一方のグループには,一人ずつビデオカメラに向かって説明をしてもらい,もう一方のグループには,一方の参加者がもう一方の参加者に語りかける形で,説明してもらった。実験の様子は,3台のビデオカメラによって撮影した。 データのコーディングには、発話情報と身振り情報をそれぞれ音声分析ソフトPraat,そして,映像を用いた分析ソフトElanを用いた。発話については,休止によって区切られる単位,文節,さらに助詞や助動詞などの形態素情報をコードした。また,一部の形態素に対しては,擬音語・擬態語,名詞,動詞,形容詞,格助詞など,品詞情報を付与した。身振り情報については,自由に身振りが出来る条件で観察された身振りをいくつかの意味的・語用論的カテゴリーに分類しながらコーディングを行っているところである。
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