2008 Fiscal Year Annual Research Report
発話のメカニズムから見た身振りと発話の協調に関する研究
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19720097
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Research Institution | Kushiro Public University of Economics |
Principal Investigator |
金原 いれいね Kushiro Public University of Economics, 経済学部, 准教授 (80433118)
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Keywords | 身振り / 擬態語、擬音語 / モジュール |
Research Abstract |
前年度収集したデータをもとに、引き続き、発話と発話に伴って現れる身振りのコーディングを行った。3つの角度から撮影された映像を同時に参照しながら、身振りが使用される位置をコードし、発話における休止の位置、文節ごとに区切られた発話の内容などとの相対的な生起関係を参照することを可能にするため、コーディングには映像と音声ファイルをリンクすることができる身振り分析ソフトを使用した。 データは、自由に身振りを使用できる条件と、板に固定された手袋を使用することで、身振りを抑制された条件とで収集された。身振りと意味的に対応する発話要素の有無についてのデータを整備する以外にも、身振りを制限された状況において、どのように言語が変化するか調べるため、助詞、名詞、形容詞などの品詞情報、および使用される動詞の種類についても、コーディングを行った。 今後、発話と身振りに関する分析を進めていく予定であるが、現時点での結果の一つとして、身振りの有無によって発話のピッチが変化しないことがわかった。手を自由に動かせる条件と比較して、身振り抑制条件では、手以外の身体部位(頭、胴体、腕)の動きが活発になったことから、1. 身振りが発話と不可分の要素であり、2. 手による身振りが抑制された場合、手よりも意味表出可能性が低いと思われる頭や胴体などが手にとって代わることができること、を示している。また、この身振りの転移によって、発話のピッチが変化しなかった可能性も否定できない。発話のピッチが変化しなかった点については、擬音語・犠声語についても同様であった。
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