2008 Fiscal Year Annual Research Report
近世後期から明治期にかけての江戸語・東京語のモダリティに関する研究
Project/Area Number |
19720104
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
岡部 嘉幸 Chiba University, 文学部, 准教授 (80292738)
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Keywords | 江戸語 / 東京語 / モダリティ / 雷子化テキスト |
Research Abstract |
平成20年度の研究成果としては以下の4点が挙げられる。 1. 明治初期東京語資料として、ア.『月宴升毬栗(散切お富と坊主與三)』(歌舞伎台帳、河竹黙阿弥作、明治5(1872)年)、イ.『霜夜鐘十字辻筮(霜夜鐘)』(歌舞伎台帳、河竹黙阿弥作、明治12(1879)年)、ウ.『木間星箱根鹿笛(おさよの怪談)』(歌舞伎台帳、河竹黙阿弥作、明治13(1880)年)、エ.『月雪花戀路の踏分』(明治期戯作、頓陳漢斑馬述、香夢亭主人編、明治16(1883)年)を電子テキスト化した。 2. 上記エについては、原本(研究代表者所蔵本)との対照・校訂作業を、ア〜ウについては、黙阿弥手書きの台帳が存在しないため、電子化テキスト入力時に使用した『黙阿弥全集』のテキストを参照して校正作業を行い、入力ミスなどを改め、それぞれの電子化テキストの資料としての信頼性を高めた。また、昨年度作業が終わらなかった『四時 遊観花筐』(人情本、松亭金水作、天保12(1841)年)についても対照・校訂作業を終わらせた。一方、エについては対照・校訂作業が年度中に終了しなかったので、今後も引き続き、作業を行う予定である。 3. 上記ア〜ウの電子化テキストを用いて、ハズダとニチガイナイ、ベキダとナケレバナラナイの用例を採集し、昨年度に採集した用例に加えた。また、これらの用例の意味・用法について、整理・分析を行った。 4. 上記1〜3の電子化テキストおよび昨年度に作成した電子化テキストを対象として、連用形接続ソウダの連語ソウニスル、ソウニナルの用例を採集した。現在、それらの用例に基づいて、江戸時代後期(1800年代半ば)から明治時代後期(1900年前後)にかけての意味・用法の変化および、意味・用法変化の要因について分析を行っている。
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