2008 Fiscal Year Annual Research Report
日英語における意味・形式・音韻に関するミスマッチ現象について
Project/Area Number |
19720112
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岩崎 真哉 Osaka University, 文学研究科, 招聘研究員 (90379214)
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Keywords | 副詞的名詞 / 認知文法 / 構文文法 / 自由関係節 |
Research Abstract |
今年度は、ます昨年度収集したテータを整理し、分類した。また、新しく出版された文献やリストになかった文献からデータを新たに収集した。 データの整理・分類とともに、これまでに提出された理論の理解・習得・問題点の指摘を行い、本研究で独自に提出する理論の構築の基礎を行った。今年度は3つの研究テーマのうち、特に時間副詞に関する研究を中心に行い、先行研究の問題点を指摘し、その克服、そしてより幅広くデータを説明できる理論の構造を行えるよう研究した。 具体的には、副詞的名詞類が、いわゆる自由関係節と同じ振る舞いするという観察から、「自由関係節は非顕在的な前置詞をその構造にもつ」と提案した先行研究を検討した。その研究は、管見では、副詞的名詞類が関係する研究では最新のものであるが, その研究の検討を注意深く慎重に行うことは今後の研究の進展にとって非常に重要なことである。その研究は統語的なアプローチによるものであるが、その理論内では現象をうまく説明しているようである。しかしながら、本質的に、なぜ自由関係節(副詞的名詞類にも当てはまるが)が、「場所」・「時間」・「様態・方向」に限られるのか、という問いに対しては解答を提出していない。また、「様態」を表す副詞的名詞に修飾語を豊かにつけると、文の容認可能性が上がるがそれはなぜか、という問いに対しても明確な答えが出せない。これらに見られるように、今年度は、来年度に提案する独自の理論の足がかりとなるように、先行研究のデータや理論の問題点の調査に重点を置いて研究を行った。調査・研究の基礎を固める、理論を提案する足がかりとする、という意味で今年度の研究は重要であると言える。
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