2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19720216
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
中辻 享 Konan University, 文学部, 准教授 (60431649)
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Keywords | 人文地理学 / 土地利用 / 焼畑 / 家畜飼育 / 畜産 / 国際情報交換 / ラオス / 東南アジア |
Research Abstract |
2008年度は教育に多くの時間を割く必要があったため、当初の予定はとには研究か進まなかった。ただし、世界各地の焼畑・焼畑村落に関する文献、第三世界各地の家畜飼育に関する文献の収集に努めた。また、3月にはラオス人民民主共和国に渡航し、20日間の現地調査に従事できた。これはラオス国立大学社会科学部をカウンターパートとして行った。調査ではまず、対象地域であるルアンパバーン県シェンヌン郡の農林局と統計局を訪れ、郡全体の家畜飼育状況とそれに関する政策を把握した。その後、シェンヌン郡カン川流域地区内の14の村落で聞取り調査を実施した。これによって、この地区内における家畜飼育状況の多様性を把握することができた。さらに、これらの村落から二つの事例村を選び、泊まり込みの調査を実施した。 これらの調査の結果, ブタや家禽については、集落から離れた場所に飼育拠点を設け、村人が泊まり込みで世話を行う事例が広く見られることがわかった。これは家畜の伝染病を回避するためである。また、村人は放し飼いの方がブタの成長が早く、その肉質もよくなると考えているのに対し、政府は集落内での放し飼いを禁じていることも大きい。ウシや水牛に関しては、各村とも集落かち離れた高標高地の谷間に放牧地を設定しているが、乾季に飼料となる雑草が大きく減少してしまうことが村人によって一番の問題点とされている。また、家畜飼育の場を地理的に見れば、ウシにしろ、ブタにしろ、集落から離れた高標高地で飼育されるのであり、領域が小さく、高標高地を持たない村落ほど飼育頭数が少なくなることも把握された。 これらの実態は既往研では十分に把握されてこなかった。2009年度は最終年でもあるので、二つの事例村でのより詳細な調査をできる限り長く行いたい。また、今回の調査に関しては日本生態学会年次大会において発表する。
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Research Products
(2 results)