2009 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツ租税法に見る企業・所得税法における租税正義の実現と中立・簡素な税制の構築
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19730023
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
手塚 貴大 Hiroshima University, 大学院・社会科学研究科, 准教授 (50379856)
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Keywords | 税制改革と政策評価 / 連結納税制度の導入 / グループ企業内の租税属性の規制 / 連結納税制度の国際的拡張 / 法人税制の正当化 / 競争中立性 / 固定資産税の制度と判例 |
Research Abstract |
今年度の研究においては、まず、税制改革も含めた立法過程のあり方についての研究の一素材として政策評価法等に関する研究を行った。一般的には政策評価法に基づく制度は政策形成の透明性を高める上でも必要であるし、政策内容の合理性を高める契機を持ち、税制改革にも一定の成果を上げていること、第三者的評価の性格を維持することが今後とも必要であることが明らかとなった。加えて規制影響分析を活用し、規制政策に係る評価の精度を上げることも求められる。 次に、企業税制の構築をドイツの法人税制に比較対象を求めつつ研究を行った。ドイツにおいては、他にもいくつかのアプローチはあるが、競争中立性を以て法人税の正当化が行われている。これによると法人とそれ以外の企業形態との税負担の同一化が必要となるが、他のアプローチに比し、税負担のあり方を直接的に指示する点で優れていることが明らかとなった。これは「企業課税の現状と再構築の可能性(仮)」として広島法学に今後投稿予定である。 そして、税制改革における課税単位の問題を研究するため、今年度は特に連結納税制度について、日独比較の観点から企業結合税法をさらに深めて研究した。ドイツ租税法の例によれば、連結納税制度は租税通常措置として位置付けられているものの、政策税制と解することにより、例えば連結法人間の100パーセント資本参加要件の見直し、租税属性の利用可能性の拡大といったように適用要件、その効果とも柔軟性を与えることができる。加えて外国子会社をも連結子法人とすることにより、経済のグローバル化に対応する制度に再構築することもできる。この成果も今年中に公表予定である。 また固定資産税の制度研究に関する研究会に参加し、近年の家屋の評価に係る裁判例の分析を行い、地方税制に関する研究対象も拡大した。
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Research Products
(4 results)