2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19730038
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
喜多 康夫 Teikyo University, 法学部, 講師 (80307206)
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Keywords | 国際法 / 国際司法裁判所 / 国際訴訟 / イギリス外交史 |
Research Abstract |
平成20年度においては、資料収集と整理を行うとともに論文の執筆に勤しんだ. 4月から8月までは昨年度に収集したNatiqnal Archivesのデジタル写真を整理しつつ、コルフ海峡事件に関するイギリス域肘の訴訟戦略に関する論考を執筆していたが、訴訟戦略論の概説的な研究と、アルバニア国立銀行の貨幣用金に関するイギリス政府の訴訟戦略の研究も同時並行的に行わなければならないことが分かった。訴訟戦略論の基礎的な概念枠組がなければ、イギリス政府の国際訴訟活動を分析できず、またイギリスの点かはコルフ海峡事件並びに金塊仲裁裁判及び貨幣用金事件は継続した-連の紛争であり、コルフ海峡事件に関する訴訟戦略た関ずる論文を執筆するにあたっては、1996年のアルバニアによるイギリスへの賠償金支払と3ヶ国委員会による貨幣用金のアルバニアヘの引渡しまでの一連の流れも理解する必要があるからである。 訴訟戦略論の概説的研究としで対外政策論と軍事戦略論の理解を深めた. 対外政策論が訴訟戦略の研究に必要なのは、国際訴訟活動も外交の一手段であり、いわゆる政府内政治モデルに基づく対外政策決定過程が外交における国際訴訟活動の意義を理解するのに有用だからである.また、軍事戦略に関しては、先駆者であるTerry Gillの訴訟戦略論が、Edward Luttwakの軍事戦略論に基づいておりGillの用いた概念を理解するには軍事戦略に関する知識が必須である.さらに、人種差別禁止条約適用事件のように、武力紛争における不利を国際訴訟で補うようなやり方も見られ、歯家戦略論における国際訴訟の活用という大きな問題を検討するのにも、軍事戦略論の理解は必要である。 貨幣用金紛争に関しては、昨年度の資料収集では不十分であることが判明したためにご本年度の8月にNational Archivesで資料を収集した。その過程で、コルフ海峡事件に関する海軍省の資料を新たに発見したために、貨幣用金紛争だけでなく、コルフ海峡紛争の資料収集にも時間を費やした。コルフ海峡紛争と貨幣用金紛争をより政府内政治モテルで詳細に分析できると思われる。 こうして現在は、「コルフ海峡事件におけるイギリス政府の訴訟戦略」及び「貨幣用金紛争におけるイギリス政府の略」並びに「国際訴訟戦略の組という3本の論文を同時に執筆している状況である。「国際訴訟戦略の概念枠組」は完成に時間がかかると思われるが、コルフ海峡紛争に関する論考は来年度以後に発表したいと考える。
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