2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19730038
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
喜多 康夫 Teikyo University, 法学部, 准教授 (80307206)
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Keywords | 国際法 / イギリス外交史 / 国際司法裁判所 |
Research Abstract |
平成21年度においては、従来の方針を変更して、The National Archivesでの資料収集と複数の論文の執筆を同時に行うことを是とした。その理由として、以下の3点がある。 第1に、研究対象の期間である1946年から1960年には、国際司法裁判所でイギリスが当事者となった訴訟事件は6つあるが、それらはほぼ同時期に集中していることから、それぞれが独立した事件でありながら、イギリス政府内部ではお互いがかなりの程度に関連していることが分かった。その理由としては、イギリスの国際訟務を外務省法律顧問のウィリアム・エリック・ベケットを中心にこなしていたことが挙げられる。特に1952年から1954年までは、ノルウェー漁業事件の敗訴、ベケットの病気による引退、ベストの急死など複数の要因がそれぞれの事件に影響を及ぼしている。 第2の理由は、TNAの資料が膨大なことが挙げられる。5件の訴訟事件の資料を収集し、Jpegファイルで3万枚、フォルダー数で286、サイズで56Gバイトを超える状況である。しかも、まだアングロ・イラニアン事件が残っており、資料収集がまだ必要である。 第3の理由は、資料が膨大であればある程、直に目を通しながらの執筆を同時に行う必要を感じたことにある。特にTNAの資料は資料整理を行うためにも、時間を気にして焦って書類のデジタル写真を撮るよりも、内容を確認しながらじっくり撮る方が、後日につながることが分かった。 上記の理由から、コルフ海峡事件、貨幣用金事件、ノルウェー漁業事件、マンキエ・エクレオ事件の4件に関する論文と、国際訴訟戦略の概念枠組みに関する論文の計5本を同時に執筆している。それぞれの論文の調整が必要であるので、同時執筆はやむを得ないと考えている。できる限り早くこれらの研究成果は漸時発表していきたい。それは仮に研究助成期間が終了したとしても同様である。
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