2007 Fiscal Year Annual Research Report
少数株主の法的地位-株式買取請求権を手がかりとして
Project/Area Number |
19730070
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
齊藤 真紀 Kyoto University, 大学院・法学研究科, 准教授 (60324597)
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Keywords | 民事法学 / 会社法 / 企業結合 / 子会社 / 少数株主 / 株式買取請求権 / EU / ドイツ |
Research Abstract |
平成19年度は、研究実施計画に従い、諸外国の法制の現状を把握する作業に専念した。具体的には、ドイツ・イギリス・フランスについて、国内の関連分野における先行研究を調査するとともに、フランスのパリ大学およびドイツのマックス・プランク外国私法および国際私法研究所を訪問し、上記の国々の法状況および議論に関する文献収集を行うとともに、商法の研究者に面談調査を行った。欧州の国々においては、EUの会社法に関する第13指令(いわゆる買収指令)の効力発生により、その国内法化が進み、公開会社が買収によって子会社にされる局面における株主の保護については、同じレベルの保護が整備されつつある(情報の提供、強制的公開買付けおよび公開買付け成功後の残存株主の株式買取請求権による退出可能性の確保、買収者による少数株主の締め出しにおける適正な価格の確保)。一方、閉鎖会社、とりわけ同族会社における多数派株主と少数派株主の対立時における利害調整メカニズムは、各法秩序における一般私法の団体法理に委ねられているといえる。ここでは、適正な対価を支払えば、多数派株主は少数派株主に退出を要求できるというシンプルな構図ではなく、対立の状況について精査され、少数株主の締め出しの可否が判断されているのではないか、と考えられる。そこで、閉鎖会社における少数株主の締め出しは、団体の解散および多数派による団体の再結成の費用を節約するための手段として位置づけられることになるのである。
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