2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19730074
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
堀田 親臣 Hiroshima University, 大学院・社会科学研究科, 准教授 (50363015)
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Keywords | 不動産担保権 / 担保権の侵害 / 抵当権の侵害 / 物権的請求権 / 損害賠償請求権 / ドイツ法 / 不動産の譲渡担保 |
Research Abstract |
本年度は、(1)ドイツ裁判例の整理・分析、及び(2)抵当権を中心とした日独法の比較研究を行った。また、本年度は、最終年度にあたることから、(3)本研究課題の総括を行った。 上記(1)及び(2)について、本年度は、ドイツ法における物権的請求権(ドイツ民(BGB)1133〜1135条)及び不法行為に基づく損害賠償請求権(BGB823条)に関する裁判例の整理・分析、そして、不動産担保制度の相違に配慮した日独法の比較研究を行った。その成果としては、本課題を考えるにあたっては日独における抵当制度の基本的な相違(ex. 順位昇進の原則と順位確定の原則等)を考慮することが重要であることを確認した上で、(i)そのことは抵当権侵害という要件との関係でも重要な意義をもつこと(独では抵当権の被担保債権額・順位が重要な判断要素とされる等)、(ii)具体的な侵害事例に関し日独では相違が見られること(ex. 従物の分離・搬出は共通、抵当不動産の占有による侵害事例は専ら日本で問題等)、(iii)抵当権者の保護手段に対する考え方にも日独で相違が見られること(ex. 抵当権に基づく妨害排除請求権の取り扱い、損害賠償の方法についての日独法の相違)等が重要であることを確認した。 上記(3)で、本年度は、抵当権と不動産の譲渡担保につき、債権者(担保権者)と設定者、各々の有する権利とその救済方法に関し、現状での解釈論の方向性について検討した。その結果、両担保では、そもそも各当事者の有する権利の明確性の点で相違があることを前提に、(i)それに伴い、具体的に問題となる侵害事例とその判断にも相違が見られること(ex. 譲渡担保では抵当権と異なり設定者に対する明渡請求が問題となる等)等を確認し、(ii)判例の到達点を踏まえた上での本課題の再検討の必要性と解釈論の方向性について一定の示唆を得た。 なお、本年度は、2年間の研究成果の一部を、日本土地法学会中国支部研究会で報告した。
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Research Products
(2 results)