2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19730076
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
堤 健智 Tokyo Metropolitan University, 社会科学研究科, 准教授 (20361454)
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Keywords | 非営利 / 法人 / 団体 / 慈善 / 不法行為 / 損害 / 賠償 / 責任制限 |
Research Abstract |
本年度は、外国法、特にアメリカ法について、不法行為一般に関する文献等にまで範囲を広げ、収集及び分析を行った。尤も、収集についても必ずしも満足すべき結果を挙げられたわけではないし、さらにその分析に至ってはなかなか思うような成果を上げられていないのが実情である。本研究の場合、責任制限の形態が、団体-法人格のあるものには限られない-についてのものから個人についてのものへと変化していったことについて、両者にどのようなつながりがあるのか、仮につながりがあるとすれば、その背景になるものが何であったのかを明らかにすることが最も肝要であろうと思われる。しかしながら、この点に関する資料がなかなか発見できていない状況であった。なお資料の収集を図るのか、現在までに集まった資料を基に研究を組み立てることに方針を転換するのか、研究の残り期間等を勘案すれば早期に決定する必要があるものの、当該年度においてはなお判断するに足りる十分な情報を得られなかった。 もう1点、外国法分析の結果をどのように日本法に還元するかという点についても、決断の必要が生じている。本来、この研究は、団体と個人との間で責任をいかに分担するかという観点から始まったものである。しかしながら、こと非営利法人について、このような観点からの研究が十分に蓄積されているかには疑問がある。反面、非営利の活動と不法行為という観点からは、既に若干の議論がなされてきたところである(いわゆる隣人訴訟の例などを見られたい)。したがって、学界への受け入れられやすさを考慮すれば、後者のアプローチを行うことも検討されるべきであろう。このような観点から、当該年度においては、不法行為と非営利活動に関する若干の研究を行った。その成果については、遠からず公表が見込めるところまで進んでいる。
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