2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19730093
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
中村 英樹 Tottori University, 地域学部, 講師 (20325541)
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Keywords | 放送法 / 人間像 / 規制緩和 |
Research Abstract |
本年度は主に、日本における放送の規制緩和論を中心として、そこで想定されている人間像を抽出する研究を行った。まず、近年矢継ぎ早に公表された、政府関係の懇談会による報告書の検討を行った。すなわち、「通信・放送の在り方に関する懇談会」最終報告や「デジタル化の進展と放送の在り方に関する懇談会」最終報告、「通信・放送の総合的な法体系に関する研究会」最終報告である。そこでは、放送の持つ表現・報道としての側面や文化的側面に対する配慮も部分的には伺えるものの、放送をもっぱらサービスとして捉え、競争という枠組みの中で視聴者及び放送事業者をホモ・エコノミクスとして捉える人間像が色濃いことが判明した。 また本年度は、地方の民間放送事業者2社及びNHK地方放送局へのヒアリング調査も実施した。その中では、デジタル化、多チャンネル化が進展する中での地方放送の役割や地域性の確保に向けた課題、地域文化とは何か、民放ネットワークに対する考え方、そして想定する視聴者像や番組制作者像などについて、あらかじめ設定した質問項目にもとづき、率直な意見を伺い意見交換を行った。この調査を通して得られた知見は大変貴重なものであると確信しているが、現在法制度が大きく動いている中で、所管官庁との関係が大変センシティブな時期であるという理由により、ヒアリング対象者からは放送局名が特定される形での成果公表は控えて欲しい旨の申し出を受けている。次年度もヒアリング調査は継続するつもりであるが、どのような形で成果公表を行うかについては、工夫が必要であると考える。
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