2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19730093
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
中村 英樹 Tottori University, 地域学部, 講師 (20325541)
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Keywords | 放送法 / 人間像 / 規制緩和 / 情報法 |
Research Abstract |
本年度は主に(1) ドイツ「放送の自由」論における人間像研究、(2) 国内の民間放送事業者における人間像研究を行った。まず(1)につき、ドイツ在外研究(2008年9月)において得られた成果を分析検討した結果、公共放送を中心に据えた彼の国の放送の自由論においては、「プロフェッショナルとしてのジャーナリスト」像を軸とした内部的自由論として議論が展開されていることが浮き彫りとなった。逆に言えば、このような人間像が、ドイツ放送の自由論を支えているとも言える。こうした展開の妥当性は、放送局内でのジャーナリストの位置づけ(経営との分離)や番組の質、民間放送への適用可能性等の観点から、さらなる検討が必要となる。 昨年度からの継続である(2)については、若手放送法研究者や民間放送事業者との研究会を3回にわたり主催し、関連テーマの報告、検討を行った。各研究会テーマは、「放送をめぐる司法・立法・行政の動向」(2008年10月)、「マスメディア部分規制論の検討」(2008年12月)、「地方局の現状と将来」(2009年3月)である。ここでは、とりわけ民間放送の「放送の自由」は精神的自由としての側面、経済的自由としての側面、そして文化的自由としての側面を具えた複合的自由であり、各側面に対する制約原理の捉え方に応じて、法体系における位置づけが異なりうることが明らかとなった。特に、「構造改革」による規制緩和路線の中で民放局が「顧客」ベースの経営展開を強めている現状(それ自体が問題というわけではない)、そうした中で「報道」を依然として放送の生命線と考える現場の声を確認できたことは大きな成果であった。これらを統一的な「人間像」として描くことは極めて困難であり、むしろ健全な「経営とジャーナリズムの相剋」を内部で生み出していくシステムを如何に構築するかが課題となる。確認されたさまざまなレベルでの「人間像」は、そのための基礎となる。
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Research Products
(1 results)