2008 Fiscal Year Annual Research Report
第二帝政期ドイツ自由主義の政治構想とその現代的意義ーギールケからプロイスへ
Project/Area Number |
19730098
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Research Institution | Matsuyama University |
Principal Investigator |
遠藤 泰弘 Matsuyama University, 法学部, 准教授 (30374177)
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Keywords | 政治思想史 / 政治学 / ドイツ公法史 / ドイツ近代史 / 19世紀ドイツ / ギールケ / プロイス / ドイツ自由主義 |
Research Abstract |
本年度はオットー・ギールケとパウル・ラーバントの連邦国家論に関する昨年度までの研究を総括し、法制史学会第60回総会で研究報告を行うとともに、昨年度にスペイン・セヴィリアで行った学会発表を基に独語論文を取り纏めJahrbuch junge Rechtsgeschichte誌に投稿した(すでに印刷中であるが、出版社の都合で出版が来年度にずれ込む可能性もある)。 さらに、以上の研究成果を踏まえ、ギールケの弟子でワイマール共和国憲法を起草したフーゴ・プロイスの主著『領域団体としての自治体・国家・帝国』を分析し、プロイスの国家論をギールケ国家論と比較する研究を進めた。ここでプロイスの主権概念批判の内容を詳細に検討した結果、従来、不徹底なギールケ国家論を克服するものとして高く評価されてきたプロイスの主権概念批判は、むしろギールケ国家論がもつ絶妙なバランスを壊してしまうという点で、却ってギールケ国家論の利点を損なわせる機能を果たしたことを明らかにした。そして併せて、政治における責任主体の拡散というギールケ国家論が抱えていた問題点は、プロイス国家論においてもさらに先鋭化された形で突きつけられることとなったのであり、この観点からプロイス国家論の評価をもう一度再検討する必要があることを指摘した。以上の研究成果は、政治思想学会第15回研究会で報告したが、本報告の内容については来年度中に国内学術雑誌に投稿し、公表する予定である。 これら今年度の研究成果は、ギールケからプロイスに至るドイツ自由主義の評価を根本的に修正しようとする本研究計画全体の骨格をなすものであり、次年度に予定している研究成果取り纏めのための土台をなすものである。
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Research Products
(3 results)