2008 Fiscal Year Annual Research Report
初期近代ブリテンにおける「統合」と「帝国」の政治思想史
Project/Area Number |
19730110
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
木村 俊道 Kyushu University, 大学院・法学研究院, 准教授 (80305408)
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Keywords | 帝国 / 統合 / 初期近代 / ブリテン / ハリントン / スコットランド / 人文主義 / 政治思想史 |
Research Abstract |
本研究は、初期近代ブリテンを対象として、同時代における「統合」と「帝国」の政治思想史を明らかにする試みである。 本研究では、研究対象となる時代に応じて、作業の段階を3つのフェイズに区分している。2年目にあたる平成20年度においては、フェイズ (2) : 1603年から1707年の「政治統合」までを研究対象とした。なかでも重要視されたのは、ハリントンの『オシアナ共和国』と、1707年におけるイングランドとスコットランドの政治統合である。 その結果、前者においては、前年度に注目した人文主義的な帝国論の枠組みが、ハリントンにも継承されていることが確認された。また、後者においては、1603年を基点とする統合論争の構図が、1707年においても継承されていた可能性が明らかになった。 以上によって、1603年の「王冠の統合」を1つの基点とし、アメリカの独立に至る、初期近代における「ブリテン帝国」British Empireの設立・維持・拡大の歴史を思想史的な観点から部分的に考察することができた。同時にまた、初期近代ブリテン史を、「内乱」や「名誉革命」だけでなく、「多元的」「複合的」国家の再編と統合が最重要の政治課題となった時代として理解する重要な手掛かりが得られた。 なお、以上の作業にあたっては、英国ケンブリッジ大学において関連資料の収集を行った。
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