2009 Fiscal Year Annual Research Report
現代アメリカの通商政策の特質とその展開過程に関する研究
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19730123
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
藤木 剛康 Wakayama University, 経済学部, 准教授 (70283950)
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Keywords | 通商政策 / 米中関係 / 自由貿易協定 |
Research Abstract |
本研究課題の最終年度である今年度は、昨年度に引き続き、1 G.W.ブッシュ政権のFTA(自由貿易協定)政策、2 クリントン政権期における対中通商政策、の2つのテーマを柱として研究のとりまとめを進めた。1 については、アメリカと日本、中国の東アジア政策を中心に、近年の東アジア地域主義の動向を分析した「東アジア地域の基本構造に関する一試論」をまとめた。同論文では、アメリカ(G.W.ブッシュ政権)、日本、中国の自由貿易協定や通商政策を比較し、それぞれが現在の東アジア地域主義においてどのような役割を果たし、また、将来の東アジア経済統合に向けてどのような展望を持っているのかを分析した(同論文は『グローバル化のなかの日中経済関係』に所収され、御茶の水書房から刊行された)。2 については、1995~2000年における中国のWTO加盟に向けた米中交渉とアメリカの国内通商政治を具体的かつ詳細に分析し、研究成果を2つの学会で発表した。報告では、一般に「アドホックで宥和的」とされるクリントン政権の対中政策を、米中交渉および米国国内政治(行政府・議会間関係)の2つの側面から分析し、それらの評価が米国議会における反対勢力の過大評価に基づくものであることを明らかにした。報告に対するコメントを受け、主張をより分かりやすいものに手直しした上で論文(「アメリカの通商政策と中国のWTO加盟-対中関与政策とは何か」)を執筆し、現在、学会誌(政治経済学・経済史学会)に投稿中である。
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