2008 Fiscal Year Annual Research Report
不確実性下における寡占企業の排出削減投資に対する環境政策の効果について
Project/Area Number |
19730189
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Research Institution | Osaka University of Economics and Law |
Principal Investigator |
前鶴 政和 Osaka University of Economics and Law, 経済学部, 准教授 (50351680)
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Keywords | 不確実性 / 環境政策 / 確率微分ゲーム / 排出量規制 / 越境汚染 |
Research Abstract |
本研究では、2国が汚染物質を排出し、自国と他国の汚染物質が世界全体に蓄積されるような状況を想定した。また、汚染物質の蓄積過程に不確実性が生じるものとした。そのような状況で、各国政府間で行われる排出量ゲームを確率微分ゲームの枠組みで分析し、Markov完全ナッシュ均衡解および協調均衡解を導出した。また、サブゲーム整合性を満たす配分方式を導出した。 本研究によって、以下のようなことが明らかになった。まず、不確実性の程度が増加すれば、非協調均衡においても協調均衡においても最適な排出量は減少する、ということが分かった。次に、協調均衡解の場合、協調から逸脱する誘因が生じるため、協調が長期的に有効であるためには、協調に参加することが有利であるような保証が必要である。そこで、ナッシュ交渉解を用いて、各国政府が協調行動に合意し、協調均衡における利得を分配する配分方式を示し、さらに、その配分方式によって得られるサブゲーム整合的な協調均衡解を導出した。 その結果、市場規模を表す便益関数のパラメータを比較し、より大きな市場規模をもつ国の方がより大きな瞬時の利得を得ることによって、サブゲーム整合解が与えられる、ということが分かった。また、価値関数で考えると、各国政府は、非協調均衡で得られる利得に加え、協調によって得られる総利得の増加分を均等に分け合うことによって、協調を維持することに合意するということが明らかになった。
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Research Products
(7 results)