2007 Fiscal Year Annual Research Report
低金利下およびオープンマクロ体系下における最適金融政策に関する研究
Project/Area Number |
19730218
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Research Institution | Okayama Shoka University |
Principal Investigator |
小塚 匡文 Okayama Shoka University, 経済学部, 講師 (20403230)
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Keywords | 異時点間代替弾力性 / 共和分検定 / 量的緩和政策 / 政策反応関数 |
Research Abstract |
平成19度は、最適金融政策のサーベイと、マクロの消費行動に関する研究を中心に行った。「研究の目的」「研究実施計画」に照らせば、これらはそれぞれ、量的緩和期の中央銀行の政策効果やその反応関数に関する研究、IS曲線を特定化に関する研究、に相当する。 前者については、既存の研究ではカバーしきれないゼロ金利下の量的緩和という政策を対象とするため、様々なアプローチが存在している。ただし、明らかな政策レジームの変更が行われたことから、ベースマネーによる政策反応関数などを、レジームスイッチングモデルによって推定することも有効ではないかと考えられる。なお、この政策反応関数、共和分関係を持っていることが予想されるが、共和分ベクトルが存在する上でレジームスイッチングモデルを用いることは可能である。さらに多くの研究では、この時期にある程度の時間軸効果(ある程度は金利が上がらないと期待をさせる効果)があったものの、マクロ諸変数への影響はあまりないとしている研究がいくつかある。そこで、今後は金融政策がマクロ諸変数に適切に反応していたのか、金融政策の効果はどうであったかについて、検証を進めていく方針である。 後者については、IS曲線を特定化するにあたって重要な、消費の異時点間代替弾力性の推定方法および効用関数の設定方法について検証したものである。ここでは日本ではなく、比較対象としてのアメリカのデータによる検証であったが、アメリカの場合は共和分検定のフレームワークによるアプローチは、消費の代替弾力性を推定する際に有効でないことが示された。ところで、すでに行った研究では、日本の消費の代替弾力性を推定する際には、共和分検定のアプローチによって望ましい結果が得られている。このことから、アメリカと日本では消費行動の特徴が異なることが考えられ、今後の総需要曲線・IS曲線の特定化の際にも、注意すべき点であると思われる。
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Research Products
(3 results)