Research Abstract |
当該研究の目的は,組織的公正理論を中核におきながらも,わが国の企業経営の現状や,戦略や創造的活動に関する研究の知見を取り込んだ,より体系的な分析を実施し,知識を重視する組織における有効な人的資源管理(特に組織の公平性を維持すること)について明らかにすることである。 当該年度に実施した研究は,以下のものがある。第1に,文献研究である。戦略論,組織行動論,人的資源管理論など,分析枠組をより強固なものにするべく,関連分野の文献をレビューした。第2に,インタビュー調査である。小売業A社と製造業B社において,集中的にインタビュー調査を実施することによって,定量的な調査を実施する上での知見を得ることができた。第3に大量サンプルによるアンケート調査である。C社およびD社において,従業員を対象とするアンケート調査を実施した。アンケートの内容は,組織的公正研究のオーソドックスな内容に加えて,戦略の明示,理解,および戦略に基づいた組織運営がなされているかどうか,といった点を重点的に聞いている。なお,アンケート調査について,年度末の実施であったために,現在は,データの収集中であり,分析自体は次年度に行うことになる。また,次年度は数社を対象にアンケート調査を追加実施する予定である。 なお,当該年度は,「組織的公正に影響を与える要因に関する実証研究:組織的公正理論の発展に向けて」『商大論集』第59巻第2・3号,1-23.2007年12月.を研究成果として発表し,戦略と組織的公正との関係を一定程度示すことができた。
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