2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19730301
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
北口 りえ Komazawa University, 経済学部, 講師 (00403957)
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Keywords | 推計課税 / 租税制裁 / 租税手続 |
Research Abstract |
本年度は、推計課税の構造解明に向けて、申告納税制度における推計課税の機能についての日米比較や推計課税の会計学的認識可能性についての研究を行い、その成果として、藤田昌也編著「会計利潤のトポロジー」(同文館)のうちの一章を執筆した。執筆にあたっては、BAL(Business Accounting Laboratory)研究会での報告を重ねた上で、そこで得られたコメント等をもとに加筆・修正を行い、論文を完成させた。その研究成果の内容は以下の通りである。 日本において推計課税に与えられている機能が、帳簿に基づく実額課税が困難な場合の代替措置としての、実額に近似した所得構成であるのに対し、アメリカにおいては、所得構成という本来の機能を超えて、「帳簿が適正か否かを判断する事実の証明のための間接証拠、立証手段」(所得の検証手段)としても機能しているという、日米間における推計課税の機能の相違が明らかとなった。そして、その相違が生じた原因についても租税環境の変化等の観点から説明している。 また、日本において推計課税による所得構成がどのように行われるのかについて、判例等を用いて分析し、推計課税は、予定された所得を成立させるために用いられる課税の公平概念を含んだ合目的的な会計機能を有しているということを示すことができた。 今後は、このような結論をもとに、従来税務会計の研究対象外として取り扱われていた推計課税を税務会計の研究対象として捉え、手続法と実体法の連結環として位置付けた上で研究を進めていく。
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Research Products
(2 results)