2010 Fiscal Year Annual Research Report
日本的生産システムの再編期における小集団活動の研究
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19730328
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
小川 慎一 横浜国立大学, 経営学部, 准教授 (30334618)
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Keywords | 小集団活動 / QCサークル / 日本的雇用慣行 / 競争的関係 / 協力的関係 |
Research Abstract |
平成22年度は前年度までに実施してきた、小集団活動の普及の仕組みや、企業での活動状況についての調査結果を、整理した。また国際社会学会(International Sociological Association)の第17回大会にて研究成果の一部を発表した。同大会での発表内容に照らして、成果を要約するとつぎのようになる。小集団活動は1980年代の日本企業で活発に展開され、国内外から注目された。日本で小集団活動が当時広く普及した要因のひとつは、日本の雇用システムの特徴に求められる。従業員に対する査定を伴う長期雇用や、ある種の柔軟な職務配置は、従業員が小集団活動へ参加する誘因を与えてきた。1990年代以降、長期不況の影響もあり日本の小集団活動が停滞するが、2000年代においても活動を継続する企業がある。これらのなかには、他企業と協力しながら小集団の普及・啓発を実施する企業がある。一見して他企業を利するような情報交換が、なぜおこなわれるのだろうか。このことは企業を単位として、雇用など企業経営を考察することに限界があることを示している。企業を超えた協力関係は、小集団活動が企業経営にとって重要だと信じる人々によって、維持されている。小集団活動の社内推進者たちは、企業に対して自分たちの活動の意義を訴えていくため、企業の境界を超えて切磋琢磨している。社内推進者は互いに競争的関係にあるというよりも、協力的関係にある。彼らにとって競争的関係(敵対的関係ではない)にあるのはむしろ、各企業における他の業務担当者や小集団活動以外の活動、ほかの経営管理的手法におかれているように思われる。
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Research Products
(1 results)