2009 Fiscal Year Annual Research Report
児童福祉領域における子どもの利益代理制度創設のための基礎的条件の検討
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19730368
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Research Institution | J. F. Oberlin University |
Principal Investigator |
小泉 広子 J. F. Oberlin University, 総合科学系, 講師 (40341573)
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Keywords | 子どもの人権 / 家族グループ会議 / 児童福祉 / 子どもの利益代理 / 子どもの保護 |
Research Abstract |
本年度は、児童福祉領域における子どもの利益代理制度に関する比較制度研究として、ニュージーランドの児童福祉・少年非行領域において制度化されている、家族グループ会議(Family Group Conference、以下FGC)に焦点を当てた。FGCは、家族及び大家族を子どものケアに関する決定に係らせることを目的として、ニュージーランドで採用されたシステムであり、イギリス、カナダ、アメリカの一部の州、オーストラリアにも広がっている。元々は、マオリ族へのソーシャルワーク手法として開発された。子どもの緊急保護が必要な場合を除き、子どもの安全や福祉に問題がある場合や、子どものケアに関して家族に希望がある場合に開催される。出席者は、子ども、家族と可能な限りの大家族、ソーシャルワーカー、会議を主催するケア及び保護コーディネーター、その他、警察官、弁護士、看護師、教師などの関係者である。会議では、ソーシャルワーカーにより、子どもに関する懸念事項が伝えられる。これを受け、家族がこの問題を話し合い、他の参加者と子どもの懸念事項に関し合意し、子どものケアのためのプランを作成する。合意に達しない場合は、最終的に家庭裁判所がプランを決定する。この制度が示唆することは、子どもの最善の利益に関しソーシャルワーカーが子どもを代理するのと同時に、中立的なコーディネーターが会議を運営し、情報に基づく、家族自身の検討の機会と意見表明を保障している点である。家族やその拡大家族による、間接的、直接的、あるいは、心理的、物理的な子どものケアを保障するために、最終的な子どもの処遇決定に際し、子どもの利益代理と同時に、処遇決定過程における家族の参加の重要性とその条件が明らかになった。
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