2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19730383
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Research Institution | Tokyo University of Social Welfare |
Principal Investigator |
新井 洋輔 Tokyo University of Social Welfare, 心理学部, 講師 (80436261)
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Keywords | 集団心理学 / 組織心理学 / NPO / 対人行動 / スキル継承 / 事例研究 / 集団の存続 / リーダーシップ |
Research Abstract |
前年度までに、リーダーの引継ぎが円滑になされないことが、NPO団体の活動休止や解散につながつていることが明らかにされた。本年度は、リーダーの引継ぎを妨げる要因について量的検討を行うため、郵送による質問紙調査を実施した。質問紙は、リーダーを対象とした質問紙と、メンバーを対象とした質問紙の計2種を作成した。郵送対象は、首都圏の1都7県に登録されているNPO団体から、乱数表を用いてランダムに抽出された400団体800名であった。 主な分析結果は以下のとおりである。(1)初代リーダーが現在もリーダーをつとめている団体は約7割であった(全体の5割は団体創始者)。(2)リーダーの交代時期に関するルールが存在する団体は1割に満たず、次期リーダーが決定していない団体が約8割にのぼった。(3)引継ぎ内容が全く検討されていない団体が4割を超え、明確に文書化されている団体は1割に満たなかった。(4)リーダー自身が「団体の問題点や課題」と考えていること(複数回答)としては、「スタッフの不足」や「活動資金の不足」が多く選択され(いずれも約5割)、「リーダーや後継者が育たない」の選択率は約2割、「ルールの整備等が進んでいない」の選択率は1割に満たなかった。 この結果は、NPO団体のリーダーにとって主な問題意識が当面の活動と運営にあり、引継ぎの問題はほとんど検討されていないことを明らかにしている。この成果は現在、Webページ上で公開中である。 「加入時から脱退時期が決定されている学生団体では、結成当初から役割の交代とスキルの継承とを念頭においたルール整備が行われている(20年度成果)」ことで、円滑な引継ぎと集団継続がなされている。 この点を踏まえ、NPO団体においても、リーダー自身が引退や交代について意識し、引継ぎの問題を検討する契機となるよう、Webページ上でチェックリストと対策集を公開予定である。
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