2007 Fiscal Year Annual Research Report
コンパニオンアニマルに対する愛着とその影響の汎文化性と特殊性に関する国際比較研究
Project/Area Number |
19730395
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Research Institution | Hokkaido Musashi Women's Junior College |
Principal Investigator |
金児 恵 Hokkaido Musashi Women's Junior College, 教養学科, 専任講師 (30422348)
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Keywords | コンパニオンアニマル(ペット) / 愛着 / 比較文化 / 人と動物の関係 / 動物観 |
Research Abstract |
本年度は、インターネット調査を行い、米国におけるペットと飼主の関係の性質を調べた(回答者:全米の30〜60歳の白人男女106名)。本年度の主な目的は質的データに基づく仮説生成であったため、主に自由記述回答を求め、分析した。その結果を、過去に研究代表者が日本で行った調査結果と比較検討し、以下の重要な知見を得た。 1)ペットへの依存的愛着は、日本人飼主よりも米国人飼主の方が弱かった。2)米国では、自分にとってペットは「単なるペット」と捉える飼主が最も多く、ついで「友達」、「親友」、「子ども」の順だった。これは、日本で「子ども」、「単なるペット」、「人生のパートナー」の順だったのとは対照的である。3)ペットと飼主の関係と親子関係の類似性を尋ねたところ、類似していると考える飼主が約半数に上り、その理由として、主にペットが子ども同様世話や愛情を必要としていることが挙げられた。これは、日本では「ペットは無条件の愛情をくれるから」と考える飼主が多いこととは対照的である。一方、「親子関係とは異なる」と回答したもう半数の飼主の多くは「子どもは人間であり、ペットは動物だから」と、人間と動物を峻別していた。4)ペットへのしつけに関しては、ペットは放任されるよりも、厳しく躾をされた方が幸せだと考える人が7割以上いた。これは日本での調査で過半数の飼主が「ペットにはしたいようにさせてやりたい」と答えたのとは対照的であった。躾ける方が幸せだと考える理由としては、「人間と同様、ペットにもして良い事と悪いことの境界を教えるべきだから」との回答が多く、そこには、ペットであれ子供であれ、その行動は躾によって矯正されるべきであり、それが相手にとっての幸せであるとの共通した思想が垣間見える。以上の文化差は従来の研究では見られてこなかったものである。次年度は、本結果を踏まえ、さらに検討を進める予定である。
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