2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19730398
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Research Institution | The Institute for Science of Labour |
Principal Investigator |
奥村 隆志 The Institute for Science of Labour, 研究部, 研究員 (20373201)
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Keywords | 社会心理学 / 産業・組織 / 安全文化 / 共分散構造分析 |
Research Abstract |
平成19年度、安全文化評価ツールを電力関連業および建設業、病院関連業と安全文化の取り組み方が異なっていると考えられる業種を対象に実施した。これにより、従来取得してきたデータと合わせ、31組織、24,000のデータが揃い、業種の幅も増し、より一層、データの信頼性が向上した。とれらの業種は従来、取得してきたデータでは比較的少ない業種であるため、日本の産業組織の標準点(平均値)を規定する上で、上記業種のデータ取得は重要な位置づけであった。 安全文化を形成する各内容(10分野)の関連性を検討すべく、新たに取得したデータを含め、方針、構造、機能、対応の4つの潜在変数から構成される仮説モデル(3つの仮説)を共分散構造分析によって検証した。 結果、仮説した潜在変数間の関係は、パス係数こそ強弱があるものの、全パスに危険率5%で有意差が認められ、以下の3つの仮説が立証された。 仮説1;安全活動・規則等の行動規定要因や教育・コミュニケーション等の内発的行動、従業員の不具合時の処理や安全と生産性のバランスの取り方は安全に関する方針に依存している。 仮説2;安全活動や規則等の行動規定要因を整備することにより、不具合処理時や生産と安全のバランスを図る際の適切な判断や教育、コミュニケーションの活性化に繋がる。 仮説3;教育の徹底やコミュニケーションの活性化は不具合処理時や生産と安全のバランスを図る上で適切な情報を与えかつそれに基づく判断を行い得ることができる。 ただし、各事業所のデータで解析した結果、総データの結果とは異なる結果(パスの形およびパス係数の強弱)が得られたことから次のことが推測される。たとえSCAT-MAP上で同じ型に属した事業所だとしても、潜在変数間および各分野間の関連図が異なるとすれば、各事業所で安全文化を醸成するにあたって対策の方向性はそれぞれの特徴に合わせて築いていくべきである。つまり、ある事業所にとっては良好事例であっても、必ずしも他の事業所にそのまま導入しても機能するとは限らないと言える。
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Research Products
(2 results)