2008 Fiscal Year Annual Research Report
遺族ケアサービスの利用ニーズの評価と効果的な提供方法の開発
Project/Area Number |
19730445
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
坂口 幸弘 Kwansei Gakuin University, 人間福祉学部, 准教授 (00368416)
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Keywords | 遺族ケア / 死別 / 悲嘆 / サポート / 利用ニーズ / 高齢者 / 食習慣 / 質問紙調査 |
Research Abstract |
今年度は、遺族ケアサービスの利用ニーズの提供方法に関して、葬儀社で提供している遺族ケアサービスの一つである料理教室、通称「わいわい食堂」の有効性を検証するとともに、参加者の死別後の食習慣を明らかにし、死別後の食生活面にも配慮した遺族ケアのあり方を検討した。「わいわい食堂」は、2007年1月に開始し、複数の遺族が世話人となり、隔月で開催している。場所は公共の施設を賃借し、毎回、定員の40名に近い参加者である。発足から2008年8月の問に、当会に参加した全75名を対象に質問紙調査を実施し、64名から回答を得た(回収率85%)。配偶者との死別者が63名で、男性26名、女性38名、平均年齢は70歳であった。主な結果は次の通りである。1)活動への参加の動機として、「色々な人と知り合いになりたかったから」との回答が7割を占めた。2)参加して良かったこととして社会的交流の実現に加え、「調理のコツを学ぶことができた」「自分の気持ちを聞いてもらえた」などの回答が見られた。3)全体としての活動への評価は高く、活動の必要性についても肯定的な回答が非常に多かった。4)食習慣について、死別前後で全体の27%は食生活が不規則となり、19%が栄養のバランスを考えなくなっていた。6)特に男性では、不規則な食事や、朝の欠食、外食の増加が顕著に見られた。 今回、配偶者との死別による食習慣の悪化が示唆された。食習慣の悪化は、身体疾患のリスクを高め、配偶者死別者の高い死亡率にも寄与する可能性が考えられる。悲嘆感情に焦点を当てたサポートだけでなく、生活面に対する配慮も必要である。「わいわい食堂」は遺族ケアの機能を有しつつ、社会的交流の場としての価値も認められた。今後、死別からの「回復」を目指すケアにとどまらず、その後の生活や人生をより豊かにするライフサポートの視点での分科会活動の展開を考えていきたい。
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Research Products
(7 results)