2008 Fiscal Year Annual Research Report
回想法は高齢者の認知症予防および心理的Well-beingの改善に有効か
Project/Area Number |
19730446
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Research Institution | Osaka University of Human Sciences |
Principal Investigator |
野村 信威 Osaka University of Human Sciences, 人間科学部, 助教 (90411719)
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Keywords | 回想法 / 高齢者 / 認知症予防 |
Research Abstract |
施設入居高齢者を対象とするグループ回想法を実施し, 回想法の認知症予防に対する効果の検討を試みた。 大阪府の特別養護老人ホームの入居者のうち, 明らかな認知症の症状が認められず, 回想法への参加が可能であるという条件を満たす者に無作為に「想い出を語り合う会」への参加を依頼し, これに応じた12名を回想群の対象者とした。同様に7名の入居者には効果評価のための調査のみの参加をもとめて統制群とした。 グループ回想法のセッションは約1時間×8回からなり, 毎週決まった日時に施設内の所定の部屋で行われた。第1回日のセッションでは大正時代の大阪の記録映画の上映会を行った。2回目以降のセッションは, 遊び, 小学校, 家族, 懐かしいメロディ, 青春時代, 大切な想い出などをテーマに設定して行われた。 各回とも参加者とスタッフは椅子もしくは車椅子で車座になった。自己紹介の後に物品(玩具や写真など)を提示して想い出を語るように促した。スタッフはリーダー1名とコ・リーダー2名からなり, それぞれセッションの司会進行とADLが低下した対象者のサポートを受け持った。 回想法の認知症の予防効果を検討する指標には改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)を使用した。見当識や遅延再生などの9つの課題からなり, 認知症の判定のカットオフポイントは20/21点である。HDS-Rはグループ回想法の参加前後と全セッション終了の3ヶ月後に測定を行った。 本研究では対象者数の少なさから母集団の正規性が保証出来ないため, Friedman検定により回想法の効果を回想群のみで検討した。その結果介入前後の有意な変化は認められず, 効果の有無は断定出来なかった。そこで対象者の得点の変化を個別に検討したところ, 回想群の対象者10名のうち5名ではプレーポスト間の得点の増加が認められ, 2名では得点が低下した。
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Research Products
(1 results)