2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19730463
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
蘭 悠久 Kyushu University, 芸術工学研究院, 学術研究員 (10437767)
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Keywords | 実験系心理学 / 認知科学 / 環境対応 / 盲点 / フイリングイン / 知覚的補完 / 異方性 |
Research Abstract |
盲点補完における視覚環境への適応について補完の正確さという観点から検討するために、個々の円あるいはドット(以下、円)から構成される全体的な点線を刺激として用い、視覚系が円の規則性を正確に補完できるのかを実験的に検討した。具体的には、盲点の片側あるいは両側に複数の円を提示した場合に、盲点領域に円の補完(フィリングイン)が生じるのかどうかを検討した。円およびプローブが盲点の水平あるいは垂直軸上に提示された。被験者の課題はプローブよりも盲点側にある円の数が増えたかどうかを判断することであった。プローブよりも盲点側にある円の数が増えるということは、円が補完されたことを意味する。円が盲点の片側に提示された場合に、プローブよりも盲点側にある円の数が増えて見えた確率は、垂直方位のほうが水平方位よりも高かった。円が盲点の両側に提示された場合には、プローブよりも盲点側にある円の数が増えて見えた確率は水平方位のほうが垂直方位よりも高かった。両側の点線がつながって見えた確率も水平方位のほうが垂直方位よりも高かった。また、円の直径が2.8degの場合は、それよりも短い場合に比べて、それらの確率は低かった。つまり、盲点における補完は円の方位および大きさに依存することが示された。これらの知見は、視覚系は複数の円の配置の規則性をもとに必ず円を補完するというわけではない、つまり、視覚系は盲点周辺の視覚情報を盲点領域内に自動的に補完しているわけではないことを示している。
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