2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19730463
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Research Institution | Nishikyushu University |
Principal Investigator |
蘭 悠久 Nishikyushu University, 健康福祉学部, 非常勤講師 (10437767)
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Keywords | 実験系心理学 / 認知科学 / 環境対応 / 盲点 / フィリングイン / 知覚的補完 / 異方性 |
Research Abstract |
盲点補完における視覚環境への適応について主に補完(フィリングイン)の正確さおよび複雑な刺激の補完という観点から検討するために、盲点の片側に線分、文字、数字を提示して、どのように補完がが生じるのかを調べた。まず、盲点と一時的に接するように動く線分を用いて、盲点の下側で補完の量を調べた結果、盲点の垂直幅の47.3%の補完が生じた。この研究成果は、昨年度から検討してきた盲点の片側に提示した線分の補完の知見とともに論文として国際誌(Spatial Vision)に投稿され、掲載されることが決まった。また、4つのサイド(上下左右)で補完の量を調べた結果、下側に提示した線分の補完の量が一番大きく、その他のサイドに差はないという異方性が示された。これらの知見は、線分が盲点に接したときに、視覚システムが線分の物理的な長さ(盲点と接していないときの線分の長さ)を復元するように、盲点にかかっている線分の部分だけを補完していないことを示す。これらの研究成果の一部は12月の日本基礎心理学会においてすでに発表され、2009年度の国際学会(European Conference on Visual Perception)で発表される予定である。次に、昨年度から引き続き、物体、文字および数字などの比較的複雑な刺激の補完を検討した。昨年度から検討してきた物体補完の研究をまとめた論文が国際誌(Perception)に掲載された。引き続き、盲点の下側に文字および数字を規則的な配列で提示して補完が生じるかどうかを調べたが、補完は生じなかった。最後に、個人差については、盲点の4つのサイド(上下左右)で補完の量を調べた実験結果から、補完の量には個人差があることが示された。一方で、異方性の傾向には個人差はなかった。これらの知見から線分の長さや文字の配列などの知識的な情報は必ずしも補完を規定しないこと、および異方性および個人差の知見から線分などの単純な刺激においても自動的に必ず同様の補完が生じるわけではないことが裏付けられた。
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Research Products
(5 results)