2007 Fiscal Year Annual Research Report
パフォーマティヴィティによる人間形成論に基づく道徳教育実践モデルの研究
Project/Area Number |
19730493
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Research Institution | Shimonoseki City University |
Principal Investigator |
奥野 佐矢子 Shimonoseki City University, 経済学部, 准教授 (40433388)
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Keywords | 教育学 / 道徳教育 / 人間形成 / パフォーマティヴィティ |
Research Abstract |
本年度は,主に英米圏の教育哲学および道徳教育論の先行研究を精査し,パフォーマティヴィティによる人間形成論に基づく道徳教育実践モデルに関する研究枠組み・手法を確定することを主要な目的とした。そのためアメリカで関係資料を調査収集するとともに,研究レビューを行っている。本年度の研究実績は,以下の三点である。 1.国内外のパフォーマティヴィティと道徳性形成に関する諸研究のレビューを通じて,ある言語の慣習的な反復により,その言語が外的に規範的な力を持ち始めるとともに,反復する人間にもその言語の規範性が内面化されていく両義的なメカニズムを明らかにした。 2.主にコールバーグの提唱する道徳性発達心理学理論について,パフォーマティヴィティによる道徳性形成モデルからの再構成を試みている。本年度はまず,ハーバード大学図書館を中心に資料調査を行い,民主的な討議を通じた道徳性形成の実践を特徴づけているジャスト・コミュニティに関する資料を入手、分析した。 3.実践性を認められているセカンドステッププログラムに焦点化し,これを言語のパフォーマティヴィティという観点から分析する。本年度は,このプログラムを開発した本部(アメリカ・ワシントン州に拠点をおく)の日本支部であるCommittee for Children Japanが提供する諸資料を入手・分析し,パフォーマティヴィティを鍵概念とした道徳教育実践という観点から見た,セカンドステップの諸特徴を抽出した。
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