2009 Fiscal Year Self-evaluation Report
New Framework of Evaluation Overcoming a Paradoxical Result of Grading
Project/Area Number |
19730497
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Educaion
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
FUJIMOTO Kazuhisa Keio University, 教職課程センター, 准教授 (10338220)
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Project Period (FY) |
2007 – 2010
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Keywords | 評定 / 教育評価 / 授業研究 / 教科観 / 評価観 |
Research Abstract |
昨今、子どもの学力を適切に把握し、そのうえで、何より子ども自身に学びの意欲を回復させて、学びを成立させていく努力が模索されている。全国的な学力調査に代表される各種の学力実態把握や子どもの関心意欲の評価など、さまざまなレベルで力が注がれてはいる。だが、評価の方法が開発されればされるほど、当該の子どもたちにおいて学びが成立するどころか、かえって「学びからの逃走」を加速させるばかりである。これまでも適切な教育評価を通して、子どもを学びに主体的に向かわせて、リアリティをともなった教育活動を実現していくという課題を教育(方法)学は有してきた。しかしながら、私たちが子どもの学びの回復と促進のための前提としている教育評価(論)の構造そのものに、逆説的に子どもの学びを萎えさせているという問題が存在しているのではないかと考えられるのである。 そこで、本研究は、第三者あるいは教師による評定(教育活動のなかでの数値化された評価・判断)に注目し、(1)そこに見出される教師・子どもの権力関係性の存在とその意義の検証や、(2)評定行為が「かくれたカリキュラム」として機能し、その圧力のもとでの子ども自身による独自の教科観・学習観が形成されていくメカニズムの明確化、さらには(3)それにより誘発される学びの不成立や「学びからの逃走」などの諸問題の様相を的確にとらえていくことで、評定を教育評価論から理論的に切り離すことを試みる。そして、実際に評定行為を教育評価から全体的あるいは部分的排除して新たな評価実践に取り組むフランスやスウェーデンの学校レベルや行政レベルでの教育評価(制度)、さらには国内のいくつかの小・中学校の校内研究を具体的・先駆的事例として検討しながら、教師の専門性の再定義を行いつつ、子ども(学習者)の発達段階、生活感覚や学びへの実質的参加を重視した新たな教育評価論の枠組を理論的・実践的に提案することを目指す。
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Research Products
(4 results)